怪文書

オタクに幸あれ

整骨院へ行った話

 

 テニプリファン・木手永四郎ファンの千葉県民として見過ごすことはできないでしょう。どこも悪いところはありませんが、仕事帰りに寄ってきました。

 

 担当者は男性で、3年ほど前からツイッターでの宣伝を始めたそうです。他の従業員からの反応は「またなんかやってるよ……」というような感じで、少し肩身が狭いみたいです。

 普段はだいたい実在の人物(芸能人など)の誕生日に関連したツイートをしていますが、自分がわかるものであれば、漫画、アニメ等のキャラクターも取り上げているとのことでした。

 これまでの最高RTは2015年9月28日の、吹石一恵さんに関するツイート。担当の方いわく「炎上した」。

 

テニプリと木手永四郎について

これまでにテニプリのツイートをしたことは?

テニプリのキャラクターを取り上げたのは初めて。こんなにRTされるとは思わなかった。RTが吹石一恵さんのネタを超えるかも。」(※11月19日時点では超えています)

金色小春も同じ誕生日だがなぜ木手を?

「木手永四郎のほうが強く印象に残っていたため。小春はあまりよく覚えていない。」

テニプリを読んでいるか?

「序章は読んでいる。新テニは詳しくない。」

今後、テニプリに関連したツイートをする予定は?

「考えている。青学のキャラクターをツイートしたらもっとすごいことになりそう。」(近いところだと18日が河村隆、あと来年2月の閏日にはぜひ不二周助をと伝えたところ、なんと河村の誕生日をツイートしてくださいました。)

 

テニプリのキャラクターの誕生日を全部知っているんですか?」

たぶん。

「じゃあ、樺地は?」

1月3日。

「(笑)樺地好きなんですよね。」

男の人ってけっこうそう言うよね、樺地とか、亜久津とか、橘とか好きでしょ。

「男の人って(笑)でも、確かにわかるかも。」

でしょ。それより木手永四郎の話に戻しても?

「どうぞ。美穂子さんは木手永四郎が一番好きなんですか?」

一番……一番……うーん……どうかな…………違う……うーん……

「いろんな趣味の人がいるんですね。」

 

 バッキバキの背中を中心に20分ほぐしていただき、2,000円でした。

 「テニプリは金になる」と、少しでも思っていただけていれば行った甲斐があるというものです。また行きたいです。

 

行ったお店:西千葉駅前整骨院

切原赤也と先輩たちの関係について

 切原赤也が最も信頼している先輩は誰なのか。最も切原赤也を信頼している先輩は誰なのか。

 そんなものは個人の好みと言われてしまえばそれまでですが、自分以外のテニプリファンが、この件をどう考えているのかが知りたくて、アンケートを実施しました。アンケートはCREATIVE SURVEYにて2015年10月19日~20日まで公開し、回答数312(※完全回答でないものも含む)。ご協力くださった皆様、ありがとうございました。

 

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 184名(58.7%)が柳蓮二と回答し、半数を上回る結果に。

 次いで丸井61(19.2%)、以下、真田28(9%) 、桑原27(8.3%)、幸村13(4.2%)、仁王2(0.6%)、柳生1(0.3%)となりました。

 では、各キャラクターと切原赤也の関係について、寄せられた意見をご紹介いたします。

 

切原赤也と柳生比呂士

 今回のアンケートで柳生と回答したのは1名でした。その理由に「他の人達は二次創作のイメージが強いけど柳生は原作、二次創作でも嘘つかないイメージ」とのコメントをいただきました。柳生以外は二次創作でキャラクターにブレが生じることがあり、ファンにそのイメージも強く残すけれど、柳生はキャラクターに一貫性がある(紳士的な行動・言動かどうかに限らず)ため、表裏のなさが赤也へ素を晒していることになり、それが赤也からの信頼に繋がっている、ということでしょうか。

 

切原赤也仁王雅治

 回答者は2名。理由は「なんとなく」「悪友として一緒にいそう」とのことでした。悪友というよりは、ちょっとワルぶりたいお年頃の切原が、仁王のあの独特な雰囲気に憧れて慕い、仁王もそれを悪くは思ってはいない、という感じでしょうか。

 

切原赤也幸村精市

 回答者は、柳生・仁王からかなり増えて13名。「幸村が立海で一番強いから」「テニスの強さを基準に判断しそうだと私は思うので実力があり、部長である幸村かと」「バケモノといつつ憧れであると思うから」「誰よりも『有無を言わせずに納得させる感じ』があるのは幸村かなと」など、幸村の強さに憧れる切原の様子を理由に挙げた方が多く見られました。

 

切原赤也とジャッカル桑原

 回答者は26名でした。

 越前との草試合周辺を理由に挙げる方が多く、「何かにつけて赤也のお守りを任されていることから。テニス・学業・プライベート総合して赤也が一番気安く話したり頼ったりできる存在なのではないでしょうか。」「立海は部活を取り巻くオンオフがしっかりしているイメージがあるので、プライベートも含めた信頼に関しては原作でもめんどうを見ている描写があるジャッカルかと」などのコメントが。

 また、「同じ目線でも話してくれそうだし、叱ってもくれそう」「プライベートも含めて懐くとなると、ある程度気さくで寛容な心を持ち、また同じ目線に立ってくれる先輩になると思うから」「なにか困った時に茶化したりせず冷静な判断を下してくれそうなのでジャッカルを選びました」といった意見もありました。
 面倒を見ている、同じ目線に立ってくれそう、優しいなどの要素が、切原赤也との信頼関係に繋がっているようです。

 

切原赤也と真田弦一郎

 回答者は27名。

 ファンブックでは苦手なものに真田の名前を挙げている切原ですが、

「苦手なものに真田副部長と答えているのは、関わりが深いからだと思います」

「二言目には『真田副部長』って言う」

「学校生活などで切原赤也が少しでも疑問に思ったことにすべて答えてくれそう。テニスの内容として近いのは真田弦一郎だと思った」

「父子みたいな師弟関係みたいな副部長と後輩な2人。反発していると見せかけて昼休みには真田のクラスに出没しているところを見ると赤也懐いてるじゃんお前...!って思います。無我の境地を発動させた時、無意識の中で撃った技(恐らく赤也が深層意識の中で今まで見た中で最も強い技だと思っていたであろう)真田の「火」だったところに深い何かを感じずにはいられません。」

など、思い入れが強いからこそ苦手意識を抱いているのでは、という意見が見られました。
 また、真田から赤也への信頼関係として「赤也自身より、真田のパーソナリティ(強烈な庇護者意識)に因るところが大きい」「愛あるビンタ」などのコメントや、「真田が山を切り開いてテニス場を建設する幸村に伐採される日本の林だとしたら、赤也はそこに生えるベニナギナタタケだから」よくわからないようでなんとなく理解できる解釈もありました。

ベニナギナタタケ | きのこ図鑑 f:id:mihoko_le:20151115074803j:plain

 無毒で食用にできるけれど、そんなにおいしくないキノコだそうです。赤也っぽい!

 

切原赤也丸井ブン太

 回答者は60名。OVA立海列伝~王者に挑む反逆児~」の描写を理由に挙げる方がかなり多くなっていました。

「他の3年や白石については『尊敬』とか『恐怖(畏怖)』としての描写が多い。反面丸井はジャッカル同様年齢の近い兄弟というかコミカルな絡みも多いイメージ。」

「テニスだけなら三強を信頼してそうだけど、プライベートは全然信用してなさそう。ってなると入部したてのころから世話になってそうなブン太。」

「三強に対しては『勝ちたい』というプライド(?)があるため、なかなか素直に自分を出すことはできないと思います。丸井先輩は面倒見がいいので、そういう部分を上手く引き出していって、心を開けるような気がします。」

「柳さんは赤也君を対等な存在とは見てなさそうなので、自分がここと決めた関係の境界線を越えさせるようなことはしないのかな、と。丸井くんが一番、そういった人間関係に優劣をつけることなく、赤也君の送る信頼・人懐っこさに素直に答えてくれそうだと考えました。(ジャッカル君とも悩みましたが、ジャッカル君の方がやや一歩引いた考え方をしそうかな?)」

 他の先輩と比べてみた結果、丸井を挙げた、という意見が非常に多かったのも興味深いですね。

 ゲームセンターで遊ぶなど共通の趣味・性質があり、赤也を構って話を聞いてあげている面倒見の良さが大きな要素のようです。「一番話が合うノリのいい先輩」「一番友達に近い先輩だから」「プライベートの価値観が一番似ている」「一番性格や雰囲気が似ていて身近に感じられる存在」「一番とっつきやすそうな先輩」「長兄性質や会話においてのフランクさに対し、弟や年下として親しみやすく感じていそう」など、「一番〇〇だから」と書いていた方がとても多かった印象です。

 

切原赤也と柳蓮二

 回答者は183名で、全回答のうち約59%。ダントツでした。

 柳から赤也への信頼については

「相互関係というより柳先輩が一方的に理解してるという感じ、でも赤也も信頼はしてそう」

「ダブルスを組んだり悪魔化を心配したり赤也のために試合を棄権したり、一番考えてくれていると思うので」

「白石に頭を下げるほど柳が赤也のことを気にかけ面倒を見ようとしていた」

「一番長い目で赤也の将来を見据えている」

などのコメントが寄せられました。丸井や桑原と比較すると、面倒の見方が異なっていることがよくわかります。

 一方、赤也から柳への信頼については

「思春期の子供にとって自分のことをわかってくれている(何か明確な根拠を持って分析してくれている)存在は怖さもあれど、重要な存在だと思う」

「赤也が最も重要と考えている(であろう)テニスにおいて支え、助言をくれてきた存在であるので、他の分野においても同じように支え、助言をくれると赤也は考えていると思う」

「赤也にとってストレスを最小限に接することができ、先輩同士で二人組にならない・群れない立ち位置にいるから(赤也自身も群れることは好まないタイプにみえる為)」

「仲がいい丸井辺りは頼り甲斐に欠け、真田幸村辺りには恐縮してしまう。仁王(柳生)は信用しきっていないと思う。中間層の柳は面倒見もいいので心開きがち」

「単純に赤也ちゃんは一番構ってくれる人を好いていると思う」

などの意見が見られました。切原にとって柳は、尊敬(畏怖)と親しみのバランスの良い 先輩、という認識を持つ方が多いようです。

 その他、ファンブックでの「朝練に遅刻が多い切原を家まで迎えに行くことがある」(*1)を理由に挙げる方や、「私の趣味です」と明言してくださった方もいました。

 

 柳生・仁王に投票した方が少ないのは、やはり作中での交流描写が少ないためでしょう。丸井・桑原については、部活中以外で交流する様子が描かれたこと、柳生や仁王よりもオープンマインドで切原を受け入れる気持ちが強いことから、得票数が伸びたのだと考えています。ただ、強豪運動部の先輩後輩ですので、友達感覚と呼べるほど距離が近いとは考えにくいと思います。

 切原が倒したいと言っている三強のなかでも幸村の得票数が最も少なかったのは、原作初期から一緒に登場していた真田・柳に比べて、切原との交流描写が少ないためだと思われます。また、真田と柳の差は、ダブルスと同士討ちの影響でしょう。真田が切原に目をかけているのは明らかですが、同じところに幸村がいた場合、どうしても天秤をそちらにかけてしまいます。となると、三強のなかでも、全体で見ても、柳が突出したのは納得の結果だと言えます。

 

 続いて、どのファン活動に重点を置いているか、という質問の回答結果です。f:id:mihoko_le:20151101163216p:plain

 原作と答えた方が最も多く、4割以上を占めました。

 注目すべきは、第2位のミュージカルが、アニメと答えた方の2倍以上となっている点です。現時点で新作アニメは放送しておらず、OVAも続編は決まっていない状況です。(余談ですが、チバテレで第一期アニメの再放送があったため、千葉県の中高生の間ではちょっとした話題になっているようです。)そんな状況ですので、やはりコンスタントに上演されているミュージカルを観るうが、活動らしい活動になっていると感じられるのでしょうか。

 

 問1で回答したキャラクターごとに、重点を置いているファン活動の種類をまとめたのが、下記の表です。

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  問1よりも回答率が低いため、参考にならない数字もあるのですが、桑原・丸井と答えた方は「原作重視」傾向が強いようです。また、幸村と答えた方はミュージカルを好む傾向があり、真田と答えた方の4割以上が、重点的な活動は「どれということもない(特にない)」と考えているとの結果でした。柳は回答数が多いため、全体平均とほぼ近い数字となっています。

 

  最後は「『(新)テニスの王子様』のファンになった時期は?」という質問でした。結果は下の表の通りです。なお、出戻りの場合は、出戻ってからの年数としました。また、「中学1年のとき」など、具体的な年数が不明な回答は除外しています。

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 全体の平均は6.2年でした。

 この質問の結果は、切原と先輩の関係についての考察とは関連付けていません。ややこしくなるので。

 興味深かったのは、「15日前」からテニプリにはまったという回答。このアンケートを実施したのが10月19日ですので、15日前は10月4日、跡部の誕生日です。いったいこの回答者に何があったのか、詳しく訊きたいところです。

 

 

まとめ

 原作の描写といただいたコメント、筆者個人の意見を総合させると、切原赤也から先輩に対する感情は、下記のようになると考えます。

幸村:テニスの強さへの絶対的な信頼・尊敬・畏怖

真田:恃み・真田についての(他に対する)自信・反骨心

柳:情報の信用・ダブルスペアとしての仲間意識・比較的おおらか

柳生:常に正当なことをしていると思いきやそうでもなく読めない

仁王:ちょっとアウトローな先輩に対する「カッケー」という憧れ

丸井:さまざまな面で先輩ヅラをしてくるが親しみやすく悪い気はしない

桑原:多少のことは許してもらえるような気がして甘えがち

 

 一方、先輩から切原赤也に対する感情は下記のように捉えています。

幸村:「俺を倒せるものなら倒してごらん(きっとお前に俺は倒せない)」

真田:「もっと強くなって俺を倒してみろ(だが俺は負けない)」

柳:「部活動の先を見据えるならお前は俺を超えるべきだ(やってみろ)」

柳生:「勝利への執着は認める(だが模範的な生活を心がけてほしい)」

仁王:「見ていて面白くなくはない(けれど俺とは向かう先が違う)」

丸井:「強くなれるよう頑張れよ(俺はお前の野望に関与しないけど)」

桑原:「試合以外では気のいい後輩(でももっとうまく立ち回れよ)」

 

 以上、切原赤也と先輩たちの関係は、「幸村・真田・柳」「丸井・桑原」「柳生・仁王」の3つに区切れると考えられます。

 この記事は、切原が最も信頼し、また切原を信頼している先輩は誰なのかを明らかにすることが目的ではありません。この記事の目的は、多くの人の意見をまとめること。ですので、筆者個人の意見を書くことはしません。信頼関係の解釈は広く、それぞれの先輩と切原との間に、それぞれ違った信頼関係があります。

 「いや白石でしょ」というコメントも4つほどいただいたことをご紹介し、アンケートのまとめとさせていただきます。

 

(*1) 

 

跡部景吾に関するアンケートまとめ

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跡部のこと好きじゃないと、『テニス』って、そんなに楽しくないと思うんです。」

 目からウロコとは、こういうときのことを言うのだろう。

 今年の6月、『テニスの王子様』ファンの女性と話している最中、相手が発した一言だった。私は、あまりの衝撃に数秒間言葉を失った。考えたこともなかったのだ、跡部景吾に関する現象を楽しんでいない『テニスの王子様』ファンがいるなどとは。

 その女性は、作品自体や他のキャラクターは好きだったが、数年前まで、跡部景吾個人のことをそれほど良く思っていなかったと言う。今ではきっかけがあり跡部景吾を好きになったが、《跡部景吾を好きになる前》と《跡部景吾を好きになった後》では、『テニスの王子様』の楽しさは格段に違うらしい。
 跡部景吾への好意と、『テニスの王子様』『新テニスの王子様』へ抱く印象には関係があるのだろうか――これを確かめるため、アンケートを実施した。

 

 アンケートはツイッターで告知。匿名での回答とし、性別・年代・居住地等は調査していない。回答者のうち、作品自体のファンが95%、作品のファンではないが跡部景吾個人に興味があると答えたのが5%であった(設問1「あなたは『テニスの王子様』『新テニスの王子様』のファンですか。」)。 

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 設問2の結果、跡部景吾に興味を持ったきっかけについては、約6割が原作、2割がアニメ、1割がミュージカル、残り1割がその他であった。これは設問5「跡部景吾の最大のチャームポイントはどこだと思いますか。」において、全回答者の半数以上が「内面(かっこいい!)」を選択していることにも関連しているのではないだろうか。跡部に限らず、アニメではコミカルな面を描かれることが多く、原作のほうが「かっこいい」描写が強いと感じるからである。また、ミュージカルはアニメよりも原作に忠実だが、舞台に氷帝が登場したのは2005年夏であり、すでに跡部景吾の人気は高かったため、「きっかけ」となるには遅かったのであろう。

 

 さて、今回の本題は、跡部景吾への好意と『テニスの王子様』へ抱く印象との関連性を調べることである。「キャラクターに関して、原作やグッズの展開をどう捉えていますか。」「跡部景吾に対する今の印象は、どれに近いですか。」という2つの設問の回答を、下の表にまとめた。なお、2問両方に回答しているものを有効としている。

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 作品の展開に「満足」「おおむね満足」と回答している割合は、跡部への好意が大きい方が高いことがわかる。逆に、作品の展開を「やや不満」「不満」としている割合は、跡部への関心が低くなるごとに高くなっている。

 また、「現在最も気にしているキャラクターは誰ですか。」という設問に跡部景吾と回答したのは52人であった。うち、作品への印象を「満足」「おおむね満足」と答えたのは73.1%にのぼる。「普通」は19.2%、「やや不満」は7.7%であり、「不満」と答えた者はいなかった。
 アンケートでは跡部景吾に好意的な回答が多く、彼を苦手とする回答が少なかったが、やはり、跡部景吾への好意と『テニスの王子様』への印象の良し悪しは比例していると言えるだろう。

 しかし、これは跡部景吾ひとりに限ったことではない。「現在最も気にしているキャラクターは誰ですか。」という設問で、誰を挙げた者の満足度が高いかを調べた。

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 「満足」「おおむね満足」と回答した割合が跡部景吾を上回ったのは幸村精市(78.6%)、越前リョーマ(75%)の2人であった。また、白石蔵ノ介に関しては「やや不満」「不満」の回答数がゼロとなっている。
 原作に限らず、メディアへの露出が多いキャラクターとそうでないキャラクターでは、それぞれのファンが公式の展開へ抱く印象・満足度も変わる。しかし、今回語りたいのはそういった内容ではなく、跡部景吾をはじめとするキャラクターへ対する思い入れの大きさと、作品そのものへの印象は関連するということである。

 「どういった点があなたにとって跡部景吾のマイナス要素ですか。」という設問にも、わずかだが回答があった。結果は、「性格」が21%、「目立ちすぎる」が25%、「なんか気に食わない」が13%、「その他」42%であった。「見た目」「テニスのプレイスタイル」という回答をした者は見られなかった。個人的には、手塚を苦しめたあのプレイスタイルは初見時にだいぶ腹を立てたので、回答者が過去の跡部よりも現在の跡部をよく見ていると感じた。

 次に、自由記入欄で寄せられたコメントを一部抜粋して掲載する。

 

社会的現象としての跡部景吾

・ファンについて

メス猫が社会に潜伏しすぎている/祭り上げている人達が気味悪く近づきにくい/跡部様は絶対という風潮苦手、様付けないと刺されそうな空気苦手/なぜこんなに人気なのか、心惹かれる人が多いのかに興味があります/毎年の祭りがいつまでも続きますように/これからもテニプリファン外に「跡部って何者?」と驚かれるような活動を展開してほしい

 

・経済面について
マスコミや企業の異常な持ち上げに乗らない跡部様でいてください/最近の企業も参加するお祭り騒ぎは大変興味深いです/分かっているし、好きだけど、グッズ多すぎてずるいです/建国記念日を統一して欲しい/テーマパーク作ってください

 

わたしたちの跡部景吾

・「氷帝の部長」派
跡部は誰よりも仲間と戦うことを分かっているキャラクターだと思います/氷帝を背負うあなただから好きなんです(日本代表とか興味ない)/全国大会でも開催地枠で復活させてもらって負けたとか部長としてどうかと思う/跡部様より氷帝学園テニス部部長としてのかっこよさを知られてほしい

 

・「跡部くん」派
完璧!ってイメージが強いけど初めてのデートで相手怒らせたりそれに対して「やっベーなぁ」と一般の男子中学生みたいな感想を抱いたりステータスが高いが完璧ではなくそれを努力で補ってあの地位を築いたりしている人間として生きている感じがするところが好きです/跡部様も好きですが、普通の中学生してる跡部くんも好きです/王様として祭られて久しいですが、中学三年生で、一生懸命テニスに打ち込む彼が好きです/昔のような可愛げのある性格に戻って欲しい…最近男前過ぎです/UNIQLOみたいなシンプルな服も似合うと思うよ!

 

・「跡部様」派
明日の彼のことも気になるけど、叶うのなら彼の人生・生き様をすべて見たい/跡部様のカリスマ性は許斐先生そのものだと思っております。先生じゃないとあのカリスマ性は出せなかった/存在に有り難みを感じます/テニスの王子様という作品の地位を、確固たる所まで押し上げた彼という存在にはとても感謝しています/挫折を知り、血の滲むような努力を積み重ねた末に今の跡部様が在るのだと思うと愛おしさが溢れて止みません。お慕い申しております/平和は跡部王国にあり!

 

・「テニスプレイヤーの跡部景吾」派
華やかな台詞で目立っていますが、プレースタイルは実は地味なところが好きです/人気とビジュアルだけの跡部様ではなく、あくまでも主人公のライバルとしての跡部景吾でいてほしい/ライバル達に対し一定の敬意を持ち、それに尻込みすることなく全力で戦い、自らの美学のもと輝くその姿が好きです/大して強くないのに何であんなに偉そうなのか理解できない/手塚の肩の恨み/いつまでも、日吉くんにとって下剋上のしがいがあるような、高笑いの似合う少年であってほしいと願っています/最初はいけ好かなかったが、試合の姿や強さへの努力を見て好きになった/イギリス代表がんばってください

 

・「景吾坊ちゃま」派
家は継いで/坊っちゃま、手塚国光のためにお家を捨てないで…/家捨てないで/跡部証券のトップになる姿を見たいです/跡部財閥とプロテニスプレイヤーを両立してください/今後の進路がどうなるのかわかりませんが、跡部景吾の思うまま突き進んで欲しいと思います

 

跡部景吾のありかたを問う
これが人間のあるべき姿なんだろうなという手本、神による標本。一番人間らしい

一番好きなわけではないのに応援してしまう人としての魅力に溢れたキャラクターだと思います

私の思う最大のチャームポイントは「発言、台詞」です

正直好みでは全くないのですが面白いのでとても好きですし、今やもうテニスの王子様になくてはならない人物だと思います

初登場時は魚みたいな顔つきだったのに、みんなの力で国王へのステップが用意された子。キャラへの期待が先生に伝わることってとても大事なんだなあと思います

原作の、才能はあるが手塚や幸村ほどでなく努力家である跡部景吾から、世間がイメージする跡部景吾跡部王国の登場を機に離れていっているように感じる。「跡部様」が有名になるのはジャンル者として誇らしいことではあるが、一方で跡部景吾が理解されているのかを考えるとそうでないと思うので魅力が伝わっていないことが残念だと思う

この作品における象徴的な存在

様々な意味でこんなにも独走している人を見たことがないのでこのまま歴史に刻まれて欲しい

もう跡部景吾、というジャンルがあるのではないかというくらいに現実世界で知名度をあげていて、他のキャラクターが一番だ、という人も跡部景吾を無視して物語を語ることは難しいように思います

正直なところ、二次創作の跡部は(特に初期の)原作に基づいた妄想ではないように感じるのです。原作の跡部は長い連載の中でファンの過度な妄想要望に応じるために過去を黒歴史にしてイケメンに変わろうとしているように感じます。跡部景吾はネタキャラとしては面白いですが氷帝全盛期のファンの妄想が原作リスペクトの上に成り立っているようには思いません

最近の悩みはみんなが見ている跡部くんと私の中の跡部くんは何か違うような気がすることです

彼は推しという概念の外にいます。駆け出しのアイドルを応援するような「推し」は彼には無意味で、我々が推すか推さないかは関係なく、ただ輝いている。我々は彼がもたらす奇跡を甘受するだけの、ただの観客となり、彼の人気そして名声は我々がもたらしたものではなく、彼が掴み取ったものであり、必然だったのだと実感します


 特に多かった回答は、「努力家なところが好き」といった内容のものだった。また、世間で持て囃されている「跡部様」像と原作の中で生きる「跡部景吾」が離れていくことを危惧する意見も多く見られた。
 『テニスの王子様』を飛び出し「跡部景吾」個人が世間の注目を浴びるようになって久しい。原作者やファンの思いに沿う沿わないは別として、彼は一人の人間「跡部景吾」あるいは「跡部様」として存在し、もはや現実社会にとっても「『テニスの王子様』に登場するライバルのうちの一人」ではなくなっている。作品の中でも、現実社会でも、様々な成長をしている。成長を見ているのだから、跡部景吾を好きでいると楽しいのは当然であろう。そして、『テニスの王子様』の代表として前面に出てくる跡部景吾に興味がなければ、嫌気が差してしまうのもまた当然であろう。しかし、私にそれを気付かせてくれた女性も、今では原作での跡部景吾の行動ひとつひとつに一喜一憂している。みんなで跡部景吾を好きになろう、などとは提案しないが、『テニプリ』に巻き込まれてしまった全員が祭りを最大限に楽しめるよう、同じファンの一人として願っている。

 

 

あとがき

 アンケートにご協力くださった皆様、本当にありがとうございました。1日足らずで300人以上の方にご回答いただけるとは思っておらず、早めに締め切る運びとなりました。一番はじめに好きになったキャラクターと現在好きなキャラクターの移り変わりなど、跡部と関係ない質問の結果についても、後程まとめたいと思います。

 当日にお祝いできなかったことが本当に心残りですが、今年は宍戸亮の誕生日すら祝っている余裕がなかったので、仕方ない……テニスの王子様を愛するすべての人に幸あれ。

「まつり」の日

 今年の10月4日は、昨年のようなイベントはないとのこと。

 しかし、今年の10月4日は日曜日。せっかくだから何らかの形でお祝いしたいと思っている方も多いのではないでしょうか。カラオケでパーティーするもよし、特に目的はないけど池袋に集まるもよし、とりあえずテニミュに行くもよし。公式から空間を与えられなくとも、勝手にお祝いして楽しめる文化ってとても幸せですよね。

 

 昨年の10月4日の思い出。

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 2014年10月4日。
 多くの人にとっては、なんてことない、ふつうの土曜日。けれど、 誰にでも等しく与えられた24時間のなかで、必ず何か特別なことが起こっている。私たちにとっての2014年10月4日は、 祭日でした。

  9月26日に発表された、森永製菓と『新テニスの王子様』とのコラボレーション企画第二弾。
 2013年10月4日、森永チョコレートTwitter公式アカウントが跡部景吾の誕生日にコメントを寄せたことから話題になり、コラボレーションが実現。2014年2月・3月には、森永本社に跡部景吾の名シーンを再現したピクセルアートが展示されました。

 

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(2014年3月・森永製菓本社での展示の様子)

 

 そして、2014年のコラボレーション第二弾では、10月4日の丸一日、サンシャインシティの噴水広場を貸し切り、ピクセルアートを展示するという内容になりました。 

 サンシャインシティの噴水広場といえば、 老若男女が訪れるショッピング施設の真ん中に設けられた吹き抜けのオープンスペースであり、42坪のステージでは、物産展や展示会、アイドルの新曲発表会など、様々なイベントが催されています。ちなみにこの会場の基本料金は、土日祝日だと1日80万円。
 ここで、誰が出演するでもなく、ただ1枚のピクセルアートを展示し、来場者から料金を徴収するでもなく、ただ跡部景吾の誕生日を祝うというのです。

  「展示のみのささやかな場」という言葉は謙遜でなく、まさに言葉通り。公開開始直後の午前10時時点では、ステージ上に展示された絵に、十数本ほど、ささやかな薔薇の花が添えられていたようです。ですが、絵の前に設置された台に何かを置かなくてはいけない思いに駆られた私たちは、念のため駅で薔薇を一輪購入し、昼すぎに会場へ向かいました。

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 12時半頃にはこれくらいの花束が。集まった人々は花などを添えたあとに写真を撮ろうとするので、両手を顔の前に上げる様子が、まるで手を合わせているように見えました。お葬式みたい。

 

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 午後3時半頃の様子。増えてる。

 私たちが勝手に持ってきてしまった花やプレゼントを、置く場所がなくなったからといって重ねたり、地べたに置かせたりすることはありませんでした。わざわざ長机を運び込み、そこに、丁寧に贈り物を乗せていきます。ちなみにこの長机のレンタル料金は1台550円とのこと。

 

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 午後8時の展示終了まで30分を切った頃の様子。ぎっしり。

 献花待ちの列は長くないように見えますが、これは午後7時30分過ぎに列を打ち切っていたためです。列に並べず、絵の近くまで行けなかった方のための机も用意され、そこに置かれた花束やプレゼントをスタッフが丁寧に祭壇まで運んでいた様子が印象的でした。

 スタッフといえば、昼頃は「本日は跡部様のお誕生日を記念したイベントが~」 としか言っていなかったのに、夜には「どうぞ、跡部様がお待ちでございます」と言うなど、案内のせりふも変化していました。
 空いているときに担当の方へ直接お礼を伝えることができたので、これからもテニスの王子様跡部景吾をよろしくお願いしますと言ってきました。社員さんや経済紙の方と話したことや写真が社内報に載るとのことだったのですが、どんな記事になったのか心配です。

 

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 午後8時。まだたくさんの人がいます。しかし、上から見ないと何をやっているのか全くわかりません。

 最後の方の謁見が終了すると、この大きな吹き抜けに拍手が響き渡りました。そういえば、3月のピクセルアート展示最終日には、それまで舐めるように展示物を眺めていたファンが公開終了1分前にざっと後ろへ下がり、静かに終わりの瞬間を迎え、拍手し、警備員さんに深くお辞儀をしていたことを思い出しました。儀式のようなものなのかもしれません。

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 シャッターが閉まる前の、スタッフとファンの「ありがとうございました」の応酬も忘れられません。シャッターが降り始めてからもしゃがんで手を振り合い「ありがとう」と叫び合うスタッフとファンの様子も忘れられません。テニミュかな?

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J-WORLD TOKYOの誕生日記念メニュー

 

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アニメイト本店にはメッセージを書けるコーナーが。

 

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パセラ跡部景吾さんをお祝い

 

 2014年10月4日、とっても楽しかったです。
 森永さん本当にありがとうございました。
 跡部景吾がこの世に生まれてきてくれた喜びをかみしめ、どんなかたちであれキャラクターの誕生日を祝い、まつらせてくれる世界に感謝いたします。

 

 

「2.75次元」?――声と音が加えた0.25次元

 『金色のコルダBlue♪Sky First Stage』を観に行きました。テニミュ以外の2.5次元舞台を観るのは初めてで、驚き、考えさせられ、感動することが多く、終演後は鼻をスンスンしながら夜の新宿を歩きました。 

 以下、舞台のネタバレを少し、原作のネタバレを盛大に含みます。

 

 

原作について

 原作は、『金色のコルダ3』という恋愛シミュレーションゲームです。このゲームを2014年にアニメ化したときのタイトルが『金色のコルダBlue♪Sky』で、舞台は、アニメをベースに、原作であるゲームの要素を多く含んだ演出となっていました。原作のタイトルには『3』とありますが、同作の1・2との繋がりは「わかる人はわかって面白い」といった程度です。舞台を観るにあたっては、前作の知識はいっさい必要ありません。

 ストーリーは、室内楽アンサンブルコンテストで全国優勝を目指す高校生たちの青春もの。ゲームでは、女性主人公・小日向かなでを操作し、全国優勝を果たすと同時に意中のキャラクターとの恋愛をすることをが目的です。しかし、舞台版では、攻略対象の一人であった如月響也が主人公となります。ゲーム・アニメと舞台では主人公が異なりますが、特に違和感はありませんでした。逆に、主人公が少年になったことで、少年漫画のような熱さや青くささが強調されて、2.5次元舞台を好む層への受けが良くなったのではないかと思います。

 

舞台のみどころ(ききどころ)

①声

 開演前アナウンスは神南高校の東金・土岐の2人が担当していたのですが、第一声から客席がどよめきました。あまりにも原作の声優さんの声に似ていたからです。谷山紀章さんかと思ったら碕理人さんでした。上田堪大さんは、‘土岐弁’を話していました。2人に限らず、他のキャストも、声や話し方をかなり似せてきている印象を受けました。

 前回の記事では書かなかったのですが、8月のミュージカル講座で松田さんは、観客はキャラクターが原作に近いか近くないかを見ているので、漫画原作の2.5次元舞台において「声はどうでもいい」と明言していました。漫画が原作であれば、その後アニメ化して声がついていても、舞台では声をアニメに似せる必要はないと。アニメはあくまでも原作の派生物のひとつで、舞台より先行していたとしても、アニメと舞台とは同列に扱っても良いだろうと、私も考えています。

 とはいえ、テニミュでも、アニメを参考にしていたり、声優さんにアドバイスをもらったりしているようです。たとえば海堂の声にドスがきいていなかったり、遠山金太郎の声のトーンが低かったりしたら、間違いなく違和感を覚えるでしょう。ですから、ミュージカルでも海堂は低い声で喋り、金太郎はひっくり返らないか心配になるような声を出して叫びます。ただし、それはあくまでもキャラクターのビジュアルや性格から想像できる範囲内での高さや低さ、速さ、訛り等の特徴に留まっています。声のモノマネまでは求められていないのだろうと感じます。日本2.5次元ミュージカル協会代表理事の松田さんも「キャラになり切るというのは、モノマネではないのです。」(*1)と話しています。

 しかし、『コルダ』の原作はゲームです。キャラクターのビジュアルや声、さまざまな情報がほぼ同時にユーザーへ与えられます。観客が‘原作’を大切にしているのならば、2.5次元化にあたり、声や話し方は大きな要素のひとつなのだと思います。特に、女性向け恋愛シミュレーションゲームでは声優さんを売りにしていることが多いですし、声優さんによるイベントを長く続けてきたネオロマンス作品であればなおさらです。

 ネオロマンスのイベントでは、声優さんがキャラクターのコスプレをして出てくることも少なくありません。声優さんとキャラクターが相互に作用した文化があるため、『コルダ』は単なる2次元ではなく、声・音の部分でもう少し厚みのある――たとえば2.25次元と表現できるような――次元にあったのではないかと思います。キャラクターという一人の人間を構成する要素のひとつとして、「声」は必要不可欠とも言えるでしょう。もちろん、単なる声のモノマネではありません。キャラクターらしい喋り方、間の取り方、イントネーションのつけ方、全てを含めての「声」です。舞台版『コルダ』では、原作を2.25次元たらしめていたその「声」を、2.5次元に持ってきていました。

 

②音

 『コルダ』の舞台は生演奏です。2.5次元舞台では録音が主流ですが、『コルダ』原作のテーマは音楽。その一番大切な臨場感を演出できないなら、2.5次元化とは言えません。生演奏は必要不可欠です。生の音楽がない『コルダ』なんて、試合シーンでずっと踊っててテニスの動きを一切しないテニミュみたいなものです。

 ヴァイオリン2人、ヴィオラ、チェロ、トランペット、トロンボーン2人、チューバ、ホルン……演奏シーンの再現はもちろんですが、要所要所のBGMにもクラシックの名曲がたくさん使われています。そのBGMの使い方もすごく良い。キャラクター数人が掛け合いをしているとき、後ろや端で誰か別のキャラクターが楽器を演奏(練習だったり‘ライヴ’だったり)していて、その曲がBGMとして活用されているのです。神南の弾く「死の舞踏」がBGMになってしまうなんて、想像すらできませんでした。でも、しっくりくる。ゲームには常にBGMがあるので、それが自然で、原作に近い演出とも言えます。この音楽も、声と同じく、2次元に厚みを加える0.25次元の部分なのではないでしょうか。

 生の音楽が持つ力は大きく、冒頭のメインテーマ曲が流れたときは鳥肌が立ち、大会シーンではストーリーと相まって涙があふれ、フィナーレの演奏が終了したときには「ブラボー!」と叫んでいました。『コルダ』では、原作中で良い演奏をするとそう言われるので、おそらく舞台版の観客の姿勢として「ブラボー!」は必須だと思います。素晴らしい演奏には拍手と歓声を送ろう。 

 メインテーマをアニメのOP曲である「Wings To Fly」にしたところもすごく良かったと思います。あれが「BLUE SKY BLUE」だったら、さわやか成分が強すぎます。「WTF」は響也にもよく合っていました。

 

 

 如月響也役の前山さんは、取材に対し「お芝居の力で音楽を盛り上げたい」「2.75(次元)くらいの気持ち」(*1)と話しています。2.5次元にプラスされた‘0.25次元’。彼がどういう思いで2.75次元などと表現したのかは推し測ることはできません。しかし私は、もともと2次元の「キャラクター」「ストーリー」プラス0.25次元の「声」「音」を2.5次元に持ってこようとした結果、他の作品よりも0.25次元分多くなってしまった、そして2.75次元が発生したのだと考えています。

 

 上記のような感覚を味わえるので、『コルダ』舞台は原作にふれていなくても楽しいけれど、原作をプレイしていたらもっと楽しいと思います。

Amazon.co.jp: 金色のコルダ3 フルボイス Special (通常版): ゲーム :原作・本編。主人公・小日向かなでを操作し、星奏学院の仲間と全国優勝を目指すストーリー。もちろん他校のキャラクターとも恋愛が可能です。舞台版の主人公である響也の心情もより丁寧に描かれているのでぜひ。

Amazon.co.jp: 金色のコルダ3 AnotherSky feat.至誠館 (通常版): ゲーム :今回の舞台でライバルとなった至誠館高校に焦点をあてたファンディスク。「もしも主人公が星奏学院ではなく至誠館高校に転校していたら……」というifストーリーです。至誠館を全国優勝させることができます。

 

 

 そして、『コルダ』原作および舞台は、『テニスの王子様』「ミュージカル『テニスの王子様』」ファンが非常に受け入れやすい作品だと思います。その理由は下記の3つです。

 

①スポ魂!超文化部

 魂こめたチーム戦。それが『金色のコルダ3』です。

 原作のゲーム発売前、中央線の女性専用車両1両まるごとに『金色のコルダ3』広告が掲示されたことがありました。そのとき、「闘う、奏でる、恋をする」というキャッチフレーズに驚いたのを覚えています。その謳い文句通り『金色のコルダ3』では、ヴァイオリンやピアノなどからイメージされるハイソサエティな雰囲気はやや薄れており、勝ち負けをかけた熱さが前面に出ています。
 物語では、大会の前に学内選抜が行われます。オーケストラ部部員の中から、アンサンブルコンテストに出場するメンバーを選ぶというものです。ひとことで伝わるよう言ってしまえば、校内ランキング戦。転校してきたばかりのかなでと響也は、そこで実力を見せ、元からいた部員を黙らせてアンサンブルメンバーに入るのです。
 そして、無事アンサンブルメンバーに選ばれるとーーレギュラーの座を手に入れることができるとーー大会に出場することができ、東日本大会、全国大会へと話が進んでいきます。 大会では、主人公(主役校)VSライバル校という構図がはっきり描かれます。少年ジャンプでよく見るスポーツ漫画のように。学校ごとにカラーがあってまとまっているので、テニプリに慣れている人は『コルダ』のチーム意識を受け入れやすいと思います。

 さらに舞台版では主人公が思春期と反抗期のかたまりのような少年になったので、前述のとおり恋愛要素は控えめになり、若者たちの闘いが強調されています。若い男の子たちによる熱いチーム戦、みんな好きでしょ?『コルダ3』は、そういう、甲子園や箱根駅伝に類似したジャンルなんです。

 

②観客が存在しても良い

 舞台と客席の関係が、単に「お芝居をする側」と「傍観する側」では、2.5次元舞台の魅力は減ってしまうと思います。しかし、『コルダ』の場合は、観客に役割が与えられています。

 『コルダ』原作では一般市民や生徒の全員名前がついていて、話しかけたり、演奏を聞かせたりできます。モブだけど、名前がついているんです。(参考:【ネタバレしかない】金色のコルダ3 AnotherSky feat. 至誠館 ~モブすら面白い~ : -twilight fantasia- )主要キャラクターは学内どころか街中の至るところで楽器を鳴らしているので、観客はその聴衆として存在していても自然なのです。星奏学院の生徒として、オーケストラ部部員として、山下公園や元町の通行人として、神南のファンとして、大会の観客として存在しても良いのです。神南のライヴシーンでは拍手だけでなく黄色い歓声を求められるのですが、それは舞台だからではなく、原作でそういう場面があるからなんです。

  観客が、「舞台」ではなくその「世界」のモブとして存在しても良い。これはテニミュや、ほかのスポーツものの2.5次元舞台と共通しているので、入りやすいのではないかと思っています。

 

③否めないテニス感

 とりあえず見ればわかります。

 

 でも、彼らは単なる「キャラ」ではなく、ひとりの「人間」として描かれているので、見ればキャラクターの魅力を感じとれるはずです。

 もう本当に、なんでもいいからとにかく観て!面白いから!!!コルステめちゃくちゃ面白いから!!!!至誠館激アツすぎて泣くから!!ブラボーしか言えないから!!!キャラクターによっては魅力が最大限に出し切れてない子もいるんだけど、でも本編響也ルートだからそこはちょっと目をつぶって!!続いたらアナスカとかやるかもしれないし!ね!!オープニングGFGでエンディングAmbitiousなアナスカ至誠館があるかもしれないし!冥加さんも出てないし!天音までやってほしい……函館まで……おねがい……

  

 

 

ニコ生配信決定!!: 音楽劇「金色のコルダBlue♪Sky First Stage」 みんなで観よう。1,600円です。

 

 

(*1)「テニミュ」のオーディションはガチだった! 2.5次元ミュージカルの秘密(後編) | ダ・ヴィンチニュース

(*2)音楽劇「金色のコルダ」生演奏たっぷりで開幕!「2.75次元くらいの気持ち」 - コミックナタリー