怪文書

オタクに幸あれ

いつか王子様が

 誰が呼んだか「王子様」。

 世間には「王子様」を題に含む作品や、そう呼ばれる有名人があふれている。これら「王子様」ブームの発端が『テニスの王子様』だと思うのは、テニプリファンだけではないはずだ。しかし、王子様とはいったい何者なのだろうか。

 

王子様とは――『テニスの王子様』における狭義と広義――

テニスの王子様』作中で初めて「王子様」という言葉が出てきたのは、第1話。竜崎スミレが、越前リョーマのことをそう呼んでいた。

 また、『テニスの王子様』の前身である『きんテニ』*1では、第3話で「王子様」が初登場する。雑誌に「テニス界の王子様(※「プリンス」のルビあり)」と紹介されている天才少年が、越前リョーマだったのだ。越前リョーマが『きんテニ』に初登場するこの第3話のタイトルは「テニスの王子様」である。

 漫画作品としての『テニスの王子様』『新テニスの王子様』では、「王子様」は、越前リョーマただ一人をさしている。

 

 ただし、【「王子様」=越前リョーマ】の式は、唯一の正解でありながら、狭義でもある。【「王子様」=『テニスの王子様』『新テニスの王子様』に登場するキャラクター】といった、広義の解釈もあるからだ。

 許斐先生が作詞を手掛けた「Dear Prince~テニスの王子様達へ~」*2では、「王子様」に「“達”」がついている。また、『放課後の王子様』1巻の帯には「王子様達の日常がココに!!」と書かれている。複数形にすることで、「王子様」と呼ばれる存在が二人以上いることがわかる。

 さらに、ファンブック『ペアプリ』に掲載されている番外編漫画のタイトルは、「プライベートの王子様」。この漫画でプライベートが描かれているのは越前リョーマだけではない。「王子様」と呼ばれるキャラクターは、越前リョーマの他にいても良いのだ。

テニスの王子様』の世界では、「テニスの王子様」は越前リョーマただ一人。しかし、社会=こちらの世界から見た場合などは、『テニスの王子様』『新テニスの王子様』に登場する男性キャラクター全員を「王子様」と呼んでも良いと解釈している。

 

 

 「私の」「王子様」、「誰かの」「王子様」

 きょう私がポエムを書きたいのは、広義の「王子様」のなかでも、「私の」「王子様」についてである。

 テニプリキャラクターは皆王子様だと思ってはいるが、「私の」「王子様」は、宍戸亮だ。いま書いてて死ぬほど恥ずかしい。照れる。けれど本当に、断髪後に監督を見上げるあの表情を見た14歳のときから今までずっと、宍戸亮は私にとっての「王子様」なのだ。

 

 アニメやミュージカルなど、メディアミックスの多い『テニスの王子様』では、原作が逆輸入をおこなうことがしばしばある。キャラクターソングがサブタイトルになったり、ミュージカルで笑いをとるために使われたせりふが原作に登場したりする。

 宍戸亮は、そういった逆輸入の影響で、性格まで変わってしまったキャラクターのひとりだ。なぜなら、許斐先生は、『ペアプリ』での「長年描くなかで、描き方に変化はありましたか?」という質問にこう答えている。

「宍戸は、いい奴になってきたかな。最初は口の悪いチンピラみたいな奴だったんだけど…楠田くんがいい人すぎて(笑)。人の頑張りは評価する奴だし、今は嫌な部分がとれていい兄貴分になったね。」 *3

 また、ラジオに出演した際は、最初からイメージが変わったキャラクターに宍戸亮を挙げ、こう話していた。

「宍戸は描いててだんだん楠田さんになっていくような……最初はすごくイヤな奴で描いてたりしたのが、楠田さんのいい人イズムが、優しくて、長太郎を守るような感じに……」

 つまり、いま私たちが見ている原作の宍戸亮は、声優・楠田敏之さんの要素を多分に含んでいるというのだ。

 私たちが見てきた宍戸亮は、私がこだわって愛してきた「原作の」宍戸亮は、もはや14年前に見た宍戸亮ではないというのか。宍戸亮アイデンティティはどこへいってしまったのかと頭を抱えた。

 

 しかしその後、友人との会話によって、重大なことに気付かされた。私がこれまで愛してきた「宍戸亮」は、すでに原作から、もちろんアニメからもミュージカルからも離れた唯一の存在になっていることに。

 哲学だ。だが、確かに、そのとおりだと思った。

 夢女(あるいは腐女子)である「私の」「王子様」の「宍戸亮」は、私仕様に都合よく解釈された存在なのだ。どれだけ原作に忠実に妄想しているつもりでも、それは、必ずしも原作の宍戸亮とは一致しない。

 例をあげよう。

 私は日常生活で起こったありとあらゆることを宍戸亮や王子様たちに変換して妄想する癖がある。たとえば車に乗っているとき、「宍戸亮の運転する車の助手席で私が寝てしまったら、それに気付いた彼はオーディオのボリュームとエアコンの設定温度をすこし変えてくれるんだ……宍戸亮は車にブランケットとか積んでないからなあ……」などと想像している。

 まず、この妄想に出てくる「宍戸亮」は、実際の=原作の年齢ではない。彼は15歳で、車の免許は18歳以上でないと取れないのだから。そのうえ都内に住んで自家用車を持っているらしいので、おそらく25歳はこえているだろう。さらに「車に毛布とか積まない」という、私の理想を押し付けた設定が採用されている。

 そして、この妄想に登場する「私」は、完全に私である。そんな「私」とつるんでいる「宍戸亮」の姿が、そもそも原作を完全に無視しているし、宍戸亮の存在する場所をねじまげてしまってさえいる。

 そう、私が頭の中で夢想する「宍戸亮」は、もはや原作の宍戸亮ではない。原作の宍戸亮をベースに、ファンブックの設定や完全版の情報、ゲーム、キャラクターソング、スピンオフ漫画、あるいは現実世界で関わった人間などの様々な情報をいいとこ取りで付け足し、都合の悪い部分は「これは原作じゃないから」などと言って差し引き、私仕様にカスタマイズされた架空の理想の王子様と化しているのだ。

 

 先日、テニミュを観たあとに、深刻な原作大石ファンが「いつか理想の大石くんに会えるのかな」とつぶやいた。私たちは食事の手を止め語り合った。行間ならぬコマとコマの間を生きる“彼”の、ふとしたときの仕草や口調。テニミュはその部分を舞台上で見せてくれるが、それらが自分の想像と一致する日は来るのだろうか、と。

 結論は「絶対に来ない」だった。

 きっとこの先テニミュが何十年続いたとしても、「私の」思い描く最高の「宍戸亮」には出会えない。なぜなら、彼らの頭の中にもまた「俺の」「宍戸亮」がいて、彼らはその姿を演じているからだ。自分に合わせて、チームメイトに合わせて、対戦相手に合わせて、その場にふさわしい「宍戸亮」をつくりあげているからだ。彼らにとっての「俺の」「宍戸亮」と、「私の」「宍戸亮」は、もはや異なる存在なのだ。だからこそ、自分が「私の」「宍戸亮」を夢想しているかぎり、「誰かの」「宍戸亮」を否定することはできないのだ。

 

 許斐先生も、完全版Season3の11巻*4において、原作最終回と異なるエピソードを描き下ろし、「積み重ねた出来事のチョットした違いで、こんな未来もあるんだなと思って下さい」と語っている。少し違う未来やキャラクターの姿を想像することが読者に許されているような気がしてくる。テニスの王子様は優しい世界だ。

 

 

「王子」で辞書*5を引くと、このように書かれている。

1 王の息子。⇔王女。
親王宣下のない皇族の男子。 
大切に思う男性。大事にされている男児「我が家の―」
その団体や分野などで実力・人気があり、容貌 (ようぼう) もすぐれた若い男性。「クラスの―様」

テニスの王子様』にかんして、作中やメディアで多用される「王子様」は、おそらく4番目の意味を持っているのだろう。しかし、「私の」だったり、「誰かの」だったりする「王子様」は、3番目の意味も持っている。

 許斐先生は、自身名義の曲「Smile」*6のなかで、こんな詞を歌っている。

いつまででも キミの王子様は

信じてれば必ずそばにいるから Smile 

 どこかの国の王子様でもなければ、人からそう呼ばれるわけでもない。それでも“彼”ーー「私の」「宍戸亮」は、「私の」「王子様」だ。いつか目の前に触れるかたちで現れてくれないとしても、永遠に、私ひとりだけのための「王子様」なのだ。

2016年9月25日18:00公演の記録

“The show must go on.”を、『テニスの王子様』の世界観に合わせて訳すとどうなるのだろう。

 

 そんなことを考えながら、スクリーンを観ていた。会場の水道橋から直線で数十キロ離れた幕張のライブビューイング会場にも、舞台上の緊張感が痛いほど伝わってきた。生で見ているわけではなくとも、観客皆が息を飲んだのがわかった。おそらく、日本中、海を渡った街の映画館にも、同じ空気が流れていたのだろう。皆、胸をしめつけられるような思いをさせられたのだろう。狂気を感じるほどの「手塚国光」に。

 

「ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学VS氷帝」の千穐楽公演において、手塚国光を演じる財木さんが、舞台上でケガをするというアクシデントが発生した。

  WOWOWでは「稽古場から感動の大千秋楽まで完全密着!」と銘打った特番を流すらしい*1。もしも私がWOWOWのカメラマンだったとして、こんなアクシデントを見たらガッツポーズをしてしまうに違いない。しかし、きっと「テニミュ」は、この“ミス”をおおやけにはしないだろう。知らんけど。だからここに記録しておきたい。

 

 流血の原因は何だったのか、詳しいことはわからない。私はその瞬間を観ていないので、「おそらくこういうことがあったんだろう」と推測するしかできない。私が知覚したのは、3幕の「一騎討ち」では、いつも安定している手塚の歌声が不安定で、ラストの「生み出していこう」が全く伸びていなかったこと。そのあとスクリーンに映し出された手塚のユニフォームに血がついていたこと。手塚の右頬を血が伝い落ちていたこと。それでも試合は続けられたこと。ユニフォームについた血が、みるみるうちに増えていったこと。それくらい。

 手塚の、3Dプリンターで造られたような美しい輪郭に沿って落ちる血は赤黒く、汗を吸ったユニフォームを汚す血は薄い朱色に見えた。全国氷帝公演で桃城が額から流す血や、四天宝寺戦で河村のユニフォームを汚す血糊とは、なにもかもが違った。色や質感だけの問題ではなく、それを取り囲む空気が。

  その場面は、まさに試合の、いや、この公演最大の見せ場だった。肘に古傷を抱えながら、自分の腕を犠牲にしてでも勝利しようとする手塚。原作に描かれたその手塚の姿と、頭部から血を流しながらも試合を続ける舞台上の手塚の姿が重なって見えた。

 話が進み、手塚は肩の痛みのため膝をつく。それでも試合を続けようとする手塚に、チームメイトは「棄権しろ」と説得を試みる。ここでの鬼気迫ったせりふや、観客から見えないよう手塚を囲み素早く処置をする青学メンバーの対応はすばらしかった。そして越前は、なにも行動を起こさず、いつも通り階段に座っていた。全員が、『テニスの王子様』の世界を崩さず、キャラクターを崩さず、事故などなかったことにした。

 そして、手塚と対峙する跡部も、もはや2次元なのか3次元なのかわからないほどの気迫で試合を続けていた。「ちっとも嬉しそうじゃねぇ」表情も、長いモノローグも、演技と現実が重なって、怖いくらいだった。

 フィクションが、目の前でノンフィクションになっていき(原作では手塚は流血してないけど)、しかし演者たちはあくまでもフィクションであろうとする。“The show must go on.”――「まだ試合は終わっていない」の精神で。ものすごい瞬間に遭遇したような気がする。

すさまじきもの2016

 すさまじきもの。

「座席当選アナザーショット・サイン入りポストカード・柱巻きをお譲りいただける方優先」条件つきの譲渡記事。まして、事前のメールではそんな話をまったくしていなかったのに、会場前で「柱巻きとTSC引き換えはあげますけど、座席当選したら権利は返してください」と突然言ってくる者は、いとすさまじ。

「〇〇(キャラクター名やキャスト名)のアナザーショットまたはサイン入りポスカをお譲りいただける方はチケット代いりません」などと書いてあろうものなら、いとわびしく、すさまじ。

 

◆注釈

 「アナザーショット」…最近のテニミュでは、座席番号による抽選が毎公演おこなわれ、当選者には非売品の生写真がプレゼントされる。当選し、生写真を引き取るためには座席番号の書かれたチケットの半券が必要。私たちはこれを「座席当選」「アナザーショット」等と呼んでいる。

「サイン入りポストカード」…テニミュサポーターズクラブ(以下TSC)会員は、テニミュの会場でポストカードを1枚もらえる。そのポストカードのなかに、ランダムでキャストのサイン入りのものがあり、引き当てるとスタッフさんがベルを鳴らしてお祝いしてくれる。

「柱巻き」…テニミュ公演後に配布される紙。渋谷に掲示されていた柱巻き広告と同じデザインのため、「柱巻き」と呼ばれている。

 

 

 すさまじい。

 この夏に何度も目にしたこのようなチケット譲渡・交換の現状に対して、私が抱いた感情を最も適切に表現する言葉は、「すさまじい」だろう。

 もちろん、これまでもそういった条件つき譲渡がなかったわけではない。しかし、この夏は、特に「条件」が目についた。「条件」が提示されていなくても、譲渡を求める側が自ら「半券お返しします、柱巻きもあげます、ですから譲ってください」などとコメントしていることもある。すでに持っている写真やグッズをオマケでつけます、といったオークション状態になっていることもあった。一概に譲る側だけを責められるものではない。

 思い返せば、セカンドシーズンのアナザーショットは、別に写りが良いわけでもない、ロゴが入っているわけでもない、白背景のシンプルな全身ショットだった。チケットがあまり売れていないときに作られた消費者インセンティブ。プレミア感は薄かった。だが、サードシーズンのアナザーショットには枠やロゴがうつっており、セカンドのものに比べても、なんだかとても良いものをもらったような気になる。貰えないよりは貰えたほうが断然嬉しい。

 けれども、だからって、そんなむちゃくちゃな。そんなむちゃくちゃな話があるか。

 

 私はこの夏に、数名からチケットを譲っていただいた。

 そのうちの一人とのやりとりが、冒頭に記したものだ。事前のメールではそんな話をまったくしていなかったのに、会場前で「柱巻きとTSC引き換えはあげますけど、座席当選したら権利は返してください」と言う。さも当然のように。了承はしたが、そのときに感じたもやもやが、2か月経った今でも残っている。どうしてもアナザーショットが欲しいわけではない。けれど、権利を「返せ」というのは何かが違うだろうと。名前や引き取り店名の入っている半券を、個人情報だから出口で返せというなら何の異論もないが、そういった趣旨でもないようだ。その公演では当選しなかったが、外れたことでとても安堵したのを覚えている。こういったやりとりはごく普通なのだろうか。

 しかし、もやもやしたのは一度きりで、他の方とのやりとりはとても穏やかに済んだ。譲渡記事の文面から嗅ぎ分けたのもあるが、「そういう」考えの人ばかりではないらしい。

 

 

 テニミュのチケット定価である6,000円は、舞台を見るために私たちが払う代価だ。また、消費者が「アナザーショット」や「ポストカード」、「柱巻き」を得るのは、供給側から与えられた権利だ。この権利は、6,000円のなかに含まれているはずなのである。

 その権利をめぐって「譲渡する」側と「譲渡していただく」側、消費者同士があれやこれやするのは本当にすさまじいなあと感じさせられる、2016年の夏だった。

最も「強い」テニプリ楽曲はどれだ――合戦前哨――

 非オタや別ジャンルの友人とカラオケへ行き、「好きな曲歌っていいんだよ」と言われた経験はありませんか?私は、そう言われるたびに、この優しい友人を少しでも楽しませたいと強く思います。私の大好きな歌を相手にも楽しんでほしい、と願うのです。

 では、どんな曲を選べば、人を楽しませたり、あわよくばテニスに興味を持ってもらったりできるのでしょうか。たくさんの方の意見を聞きたかったので、2016年8月17日~18日の2日間、下記のアンケートを実施しました。有効回答数は1058でした。ご協力くださったみなさま、ありがとうございました。 

 

Q・非テニプリオタクとカラオケへ行き「なんかテニスの歌入れていいんだよ~」と言われたときに、相手を「えっ……なにこの歌……テニスやば……気になるんだけど……!?」と思わせられるような、爆発力のある曲を教えてください。(主題歌、キャラソン、ミュージカル等なんでも可)

 

1位 チャームポイントは泣きボクロ/跡部景吾 【115票】

チャームポイントは泣きボクロ 革命への前奏曲(初回生産限定盤)

  集まったおよそ1000票のうち1割以上の115票を集め、圧倒的な人気を見せつけた「チャームポイントは泣きボクロ」。この曲は、2011年の300曲記念イベントにおいて観客のカラオケ大会が始まるきっかけにもなってしまったくらいなので、場を盛り上げ、人を楽しませるエンターテイメント性は抜群です。詞の内容は置いておいて、その存在感はまさに跡部景吾そのもの、といえるのではないでしょうか。

 初デートで気をもんでいる跡部景吾様くんが中学生らしくてかわいいなあと思っていると、サビではなぜか突然おのれの泣きボクロについて歌いだす謎の構成。間奏のかけあいから察するに、氷帝テニス部がみんなでカラオケボックスへ行き、そこで跡部が好き勝手歌っている、という設定のようです。

 この不思議な世界観に、『テニスの王子様』を全く知らない人でも「えっ……何これ……意味がわからなすぎる……テニプリっていったい何……!?テニス関係なくない!?跡部景吾とは……??」となり、思わずその場で「跡部景吾」をオッケーグーグルすること間違いなし。サビの「フッフー!」は、部屋にいる人全員を巻き込んでやってもらいましょう。また、テニプリフェスタ2009で披露された振り付けはとってもシンプルなので、こちらも一度手本を見せて、全員に踊ってもらいましょう。間奏の物真似まで完璧にしておけばなお良し。「テニプリおもしろい!」と思ってもらえるはずです。間奏のせりふは2006年版と2014年版で変わっていますので、お好きな方をどうぞ。

 

2位 あいつこそがテニスの王子様(ミュージカル) 【44票】

ミュージカル「テニスの王子様」The Imperial Match 氷帝学園 ミュージカル「テニスの王子様」青学vs氷帝

 インターネットで話題となり、テニミュを一躍有名にした楽曲ですね。

 10分弱の楽曲のなかには様々なメロディーが組み合わせられており、まったく長さを感じさせません。むしろ、せりふが多いことで、あっという間に終わってしまうような気さえします。

 この曲が響きやすいのは、テニプリジャンルではなくても「オタク」であったり、インターネットに強かったりする人でしょう。男性にもウケが良いです。ただし、歌はもちろん、せりふまで完璧にこなせてこそ、な一曲。歌をかぶせてくるところもあるので一人ではきついかもしれませんが、ぜひ堂々と歌い上げ、部屋中を「えっ……いまの時間いったい何が起こったの……?何……?ほんとに何……?ちょっと意味がわからないからもっかい歌ってもらってもいい……?」という空気にしてください。

 

3位 エクスタシー(ミュージカル) 【42票】

ミュージカル「テニスの王子様」The Treasure Match 四天宝寺 faet.氷帝 ミュージカル「テニスの王子様」The Treasure Match 四天宝寺 feat.氷帝Ver.5代目青学VS四天宝寺B ミュージカル「テニスの王子様」青学vs四天宝寺

 こちらもミュージカルより、「エクスタシー」。

「エクスタシー」だなんて、もうタイトルが出た時点でざわつくことでしょう。さらに「んんーっ  ああーっ エクスタシー」の歌詞が文字で出てきてしまうので、メンバーを見極めないと大変なことになります。そのぶん、理解ある人の前で歌えば、この上なく盛りあがるはずです。間奏のせりふもテンポよく進むので、一人芝居がしやすいです。羞恥心はすべて捨て、最低限「絶頂」のあのポーズはキメて、やりきりましょう。「テニプリになんかすごいやつがいる」と気になって気になって、白石を画像検索してしまうこと間違いなし。

 

4位 恋風大石秀一郎 【32票】

月の軌道 恋風~Windy day Mix~

恋風」です。これ以上言うことないです。というくらいの名曲ですね。300曲イベントでの青学曲ランキングでも一位を獲得しています。

 ラブソングでありながら、テニス(本物)の要素が散りばめられており、これこそが正統なテニプリキャラソン。『テニスの王子様』のストーリーやキャラクターを知らない人にも、自信を持って「『テニスの王子様』の曲だよ!」と紹介できる一曲です。きっと「テニプリってすごいね!」となるはずです。キーが低すぎないので、比較的歌いやすい点もポイントが高いです。が、やはり大石の声でこそ、の曲なので、「いいね」と言われたらすかさず原曲を聴かせてあげましょう。

 

5位 ゲイ術的なテニス(ミュージカル) 【23票】

ミュージカル「テニスの王子様」青学vs四天宝寺

 この曲の出だしの歌詞を文字で見たことがありますか?

ゲイーーーーーーー

ゲイーーーーー

ゲイーーー

ゲイー

ゲイゲイゲイ!ゲイゲイゲイ!

ゲイゲイゲイ!ゲイゲイゲイ!ゲイー

作詞 三ツ矢雄二(出典:公演DVDパンフレット)

 強すぎる。

 この公演は初日に観に行ったのですが、観客全員が「え……いいの……?……まあ、みつや先生がそれでいいなら、いいけどさあ…………」という感情を共有していたような空気でした。小春になりきれる自信があるならば、ぜひともカラオケの部屋を、その「えっ……これ大丈夫なの……?テニプリっていったいなんなの……?」という感情の渦に巻き込んでください。

 

 6位~10位までは下記とおりです。

6位 テニプリっていいな/許斐剛【21票】

7位 カブリエル白書/白石蔵ノ介【20票】

8位 Love Festival/テニプリオールスターズ【19票】

9位 恋の激ダサ絶頂!/by断ち切り隊【18票】

10位 KA・BA・JI/跡部景吾【15票】

    MEBACHIKO/忍足侑士【15票】

  許斐先生の携わった楽曲がここで2曲ランクイン。「作者が作って、歌って、ソロライブもやった」と言えば、 テニスの王子様への印象をかなり鮮烈に与えることができそうです。「カブリエル白書」「KA・BA・JI」「MEBACHIKO」は、「どうしちゃったの?」感が強いので、解説も入れてあげるとなお良し。「恋の激ダサ絶頂!」は、ユニットメンバーと歌詞の妙さがツボでもあるので、そこも強調したいですね。

 ちなみにby断ち切り隊は、CDジャケットの表情が殺伐としていたところからはじまり、だんだん笑顔になっていくところがとても良いです。1曲目なんて誰ひとりとして同じ方向見てないからね。こわすぎ。

恋の激ダサ絶頂(エクスタシー)! アオゾラSTAGE Party Time

 

 

 続いて、14位までです。

12位 幸村のテニス(ミュージカル) 【17票】

13位 テニプリFEVER/テニプリオールスターズ 【14票】

14位 LASER BEAM/柳生比呂士 【10票】

    真夏のマヨネーズ/マヨネーズ 【10票】

    氷のエンペラー(ミュージカル)【10票】

 「幸村のテニス」は、イントロの音にインパクトがあるので、部屋を静かにさせてはじめから聞いてもらいたい曲です。やはりテニプリフェスタのテーマソングの爆発力は大きく、「テニプリFEVER」も上位にきました。コールのある「LASER BEAM」や「真夏のマヨネーズ」は、テニプリ楽曲に詳しい人がもう一人いるとより楽しく歌えそうですね。「氷のエンペラー」は、2位の「あいつこそがテニスの王子様」とあわせてインターネットで人気が高いので、同じ層に受けが良いはずです。

 

 ここからは、10票未満をまとめて紹介します。歌手名は割愛させていただきます。コピーアンドペーストを多用しているので、表記違いがあるかもしれません。何かありましたらご連絡ください。

【9票】 prayer/やれ!do it

【8票】 Go!Go!眼鏡's/や・き・に・く/俺様の美技にブギウギ/眼鏡祭

【7票】 鉄板ソング

【6票】 俺様の美技に酔いな/大石のテリトリー/勝ったモン勝ちや

【5票】 スピードスター/メガネ☆パーティー/青い炎/毒の華/シャカリキ・ファイト・ブンブン

【4票】 ...みたいなアルケー。/go on/ここで僕らは出会ってしまった/ぼくたちのしっぱい/俺の日本海/恋だなう/Flaming ice/風林火山/三人でダブルス/氷点下の情熱

【3票】 D気持/SO・BA・GA・RAだぜ!!/π/おめっとサンバ/デオキシリボ拡散/浪速のソーラン節/バレンタイン・キッス/眼鏡かぞえ歌/真夏の眼鏡's/男の美学/北極星/恋のモテモテ大作戦/俺様の美技にブギウギ/酔いしれろボレロ

【2票】 Adventure Hero/BIBLE/E気持/flower-咲乱華-/Hi-side/SOLO BANG!~俺の名言集~/SOUL MATE/だろぃ?/テニプリを支えてくれてありがとう/ネジとドライバー/真夏の眼鏡's/ルノワールの画集/一富士、二タカ、三茄子/好きさ好きさ好きさ/突撃!月刊プロテニス[幸村精市編]/太陽の島/氷の世界(※テニミュなのか、跡部景吾による井上陽水さんのカバーなのかは不明)/不条理/踊りませんか?眼鏡's/ALWAYS/ON MY WAY/Do Your Best!/WE ARE THE ALWAYS TOGETHER/シンクロ/デッド・エンド/ペテン師だぁ?何とでも言え/ラッキー千石/お前ら…崖っぷちギリギリ/誰にも見えない糸/俺は殺し屋と呼ばれる男/俺達の辞書に敗北はない/三連覇に死角なし/這い上がれ海堂/非情のテニス

【1票】 1 2 3 4 5 Ready Go!/4SEASONS/7TH DIRECTION/Against Wind/A気持/BRAND NEW DAY/CHU-BA FIGHTER/clear/CRASH!/Dear Prince~テニスの王子様達へ~/Departures/Dream Maker/ENJOY/Fake/Get out of the way/GEKI-DASA DAZE!!/Honey bee/JUICE/life goes on/MILK/my lover/October/PAIN~絡み合う二つのSTORY~/perfect game/P気持/Right by your side/SAMURAI/Winning shot /Oxidized Silver-いぶし銀-/笑顔クエスト/エピローグ/セイギノミカタ(仮)/フェスティバルは突然に/メガネ☆セブン/ロック☆54~ロックな人を探してみよう~/愛すべき地球/愛の歌/銀幕のボギー/幻有夢現/焼肉パン争奪序曲/春の青/勝手に四天フェスタ/真っ白な誓い/青空STAGE/追憶/道しるべ/悲しいね…君が近すぎて/比嘉チャンプルー/飛んで!回って!一週間♡/抱えたキセキ/未完成/夢の続きⅡ/淋しい熱帯魚/恋瞬-こ・い・ま・ば・た・き-/1人でダブルス/24/365/F・G・K・S/GO GO FUJI ! GO SHIRAISHI !/REMEMBER HYOTEI/Season/イリュージョン/ウィニング・ロード/選ばれしエリート集団/頑張れ 負けるな 必ず勝て/心の瞳~クローズドアイ~/ザ・レギュラー/自問自答/データは嘘をつかないよ/テニスとは…/バイキングホーン/バネダビ・スカッとスキャット/ヘビーレイン/リズムにのるぜ/一心同体/死んでこい河村/手塚ファントム/女の子とチュー/勝つんは氷帝/神の子/神懸かりのテニス〜だから勝つのは…/新・あいつこそがテニスの王子様/夢をつなげ/勇気vs意地

 

 また、「許斐先生の曲」「跡部の曲」「大石の曲」「眼鏡'sの曲」といった意見もありました。眼鏡関連曲の強さも目立つ結果となりました。

 アンケートを実施してあらためて気づかされる、テニプリ関連楽曲の多さ。アニメ関連のCDだけで400枚出ていて、曲は700を超えているのに、ミュージカルも加わると途方もない数です。いま(2016年8月20日)パセラのホームページで「テニスの王子様」をキーワードに楽曲検索したら918曲ありました。いつギネスに申請するんだろう。

 次のテニプリフェスタは「合戦」と銘打ち、たくさんのキャラクターソングのなかからナンバーワンを決めるとのこと。今回私が実施したアンケートは、カラオケで盛りあがる・インパクトのある曲というテーマでしたが、本番の「合戦」ではきっと全く異なる結果が出てくることでしょう。想像しただけで楽しみです。

 たくさんの面白さがあるテニプリ関連楽曲を、テニプリファンだけでなく、テニプリにあまり興味がない人にも楽しんでほしいと思います。カラオケへ行った際は、ぜひこのアンケートを参考にしていただけましたら幸いです。

 

 

 個人的なカラオケでの鉄板キャラソン5曲は、「チャームポイントは泣きボクロ」「ロック☆54~ロックな人を探してみよう~」「ゴンタクレ」「比嘉チャンプルー」「誰だ!今俺のことオッサンって言ったのは」です。テニミュだと、「テニスとは…」「リユニオン~Heat UpⅡ」「エクスタシー」「24/365」「WE ARE ALWAYS TOGETHER」あたりのウケが良い印象です。

「この曲は盛りあがった!」などのエピソードがあれば、ぜひお教えいただきたいと思います。よろしくお願いします。

振り込め詐欺撲滅ポスターの話

 2014年夏、千葉県の一部地域に彗星のごとくあらわれた警察官を覚えていますか?テニスのポリス様、略してテニポリです。最近、身の回りでこのポスターに異変があったので、記録しておきます。

 

 このポスターの掲示が発表されたのは2014年8月22日。丸井ブン太ソロライブ東京公演の日でした。Zepp Tokyoから千葉西警察署へ直行し、友人とふたりで大はしゃぎしたのを覚えています。

f:id:mihoko_le:20160723075513j:plain2016年8月22日22:50 千葉西警察署正面入り口にて

 

 そして翌日、このニュースは新聞にも掲載されました。

f:id:mihoko_le:20160723080120j:plain見出しになってる!(千葉日報2016年8月23日)

 

 さらに、突然テレビ番組のニュース背景にも写りこんできました。本当に突然。私の記憶では、一週間くらいずっといました。唐突すぎる。

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2016年8月27日 NEWSチバ600(千葉テレビ放送)より

 

 せっかくなので、いろいろな場所のポスターを見に行きました。テニポリGO。交番や銀行、郵便局、地区の掲示板などにもありました。交番で写真を撮らせてくださいと言うと、わざわざ壁に貼ってあったものを剥がして持ってきてくださる警察の方もいらっしゃいました。ありがとうございます。

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 本題はここからです。

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 上記の2枚は、同じ場所で撮影したものです。駅構内に掲示されていました。

 これが、なんと……

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!!!!!!??!!?!!

 ない!!!!!!!!!!!!!!!!!

 盗まれたのか、最近流行りの自転車のやつの交通安全ポスターに替えられてしまうのか、それともそもそもそういう時期だったのか……朝、この光景を見た私は、ちょっと泣きました。ちょっと泣いて、慌てて駅前の銀行に飛び込み、ポスターがあることを確認し、またちょっと泣きました。

 思い返せば、ここ2年弱、私の生活はいつもこのポスターとともにありました。夏の暑い日も、雪の降る日も、いつもこの越前リョーマくんの敬礼に元気をもらってきました。仕事で疲れてくたくたになったときも、このポスターが視界に入ると、自然と足取りが軽やかになりました。テニミュのチケット代をおろすため銀行へ行くと、いつもATMコーナーにこのポスターがありました。郵便局の待ち時間が長いときでも、このポスターをぼんやり眺めていると、ずっとこの場にいたいなと思うくらいでした。振り込め詐欺に気を付けようと意識が高まりましたが、そもそも私が振り込む先は王子様でした。新テニスの王子様警察ポスターは、本当に、本当に大切な存在でした。

 それが、駅からなくなる…………失うことがこんなに悲しいなんて……。その日は一日心が落ち着きませんでした。そして、夜。ふたたび駅を利用した私は、朝以上の驚きで脚をもつれさせることになります。

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!!!!?!!!!???!!!!?!

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 額に入れられてる

 

 おさらい

f:id:mihoko_le:20160723082304j:plain これが

f:id:mihoko_le:20160723075518j:plain こうなってて

f:id:mihoko_le:20160723082903j:plain こうなった。 

 

 これだからテニスの王子様はやめられねえ。人生は最高。