酔生夢死

オタクに幸あれ

次元の狭間にただよう香りは

 よく食べたなあ。

 一年間を振り返る時期になって、しみじみとそう思う。たぶん、人生で一番ラーメンを食べた一年だった。

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 しばしば行なわれる、オタクコンテンツと飲食店とのコラボ。

 アニメイトカフェのように、もとからそのために作られた店もあれば、ある日突然普通の飲食店がオタクの聖地となってしまうこともある。この一年と少しの間、私が通ってきたお店は、その後者だった。

 二次元のキャラクターと同じ景色が見たい。同じものを食べたい。同じ空間を共有したい。どう考えたって非現実的なその願いを叶えてくれたのが、上井草「てっぺん」さんと『ドリフェス!』のコラボ企画だった。

 アニメ『ドリフェス!R』においてキャラクターたちが通うラーメン屋「ちょうてん」。この店は、実在する「てっぺん」さんがモデルとなっており、外観、内装、メニューもほぼそのままアニメに登場している。

 アニメの放送後、ファンが勝手に通っていたところ、2017年12月から正式にコラボが始まった。「KUROFUNE襲来!!記念らーめん」というメニューが作られ、特典にアニメそのままのトッピング1品無料券が付いた。

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 私たちは、ただキャラクターと同じものを食べたいという思いで行っただけだ。ラーメンがおいしかったから何度も通っただけだ。お店の方に優しくしていただいて嬉しかったから、手紙やおみやげを持っていっただけだ。

「てっぺん」さんは、そんなオタクの勝手な行動をあたたかく受け入れ、大量の手紙を、まるで芸能人のサインを飾るかのように店内に貼ってくださった。いま、「てっぺん」さんの内壁は、アニメに登場したときとは大きく変わっている。

 

 

  そして、コラボ開始からちょうど一年となった12月1日。アニメの監督がこのツイートを投稿した。ラーメン食べに来た高校生。その高校生の目の前に、いまの「てっぺん」――いまの「ちょうてん」があった。圭吾と勇人が、私たちの書いた手紙を見ている。

 視覚、聴覚、触覚、嗅覚に加えて味覚を共有し、それを向こう側も認めてくれるのが5次元なのだ。二次元に生きている“彼ら”が、三次元の“彼ら”を介したり介さなかったりしながら、私たちと同じ世界に生きている。だから、三次元で起こったこと――私たちが送ったエール*1や夫婦箸をはじめとしたグッズの販売*2――は“彼ら”の経験になるし、風景が変わった「てっぺん」さんの今は、“彼ら”行きつけの「ちょうてん」の今になる。

 ドリフェス!的に言えば「エモい」この不思議で趣深いこの感情を、きっと私はとんこつラーメンのにおいを嗅ぐたびに思い出すのだろう。失わせたくない5次元を求めて。

 

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