怪文書

オタクに幸あれ

丸井くんはマジでカッコイイ

 丸井くんはカッコイイ。

 関東大会決勝D2戦を改めて読み返していたら、「丸井ブン太はカッコイイ」という思いが、胃の奥のほうからぶわっと湧き上がってきた。腹の奥からじわじわせり上がってきたものが喉のあたりでパァッと霧散するような、爽快感のある気持ちなので、横隔膜のあたりをキュッとしめつけ呼吸がしづらくなる「萌え」とは異なる感情なのだと思う。とにかく丸井くんはマジでカッコイイ。

 

 丸井くんのカッコよさを語る上で欠かせないのは関東大会決勝D2戦。先日、「あなたが選ぶテニプリベストゲーム」のアンケート*1が行なわれていたが、私にとっての「ベストゲーム」は、まさにこの試合だ。

 立海の強さを、青学が痛烈に実感する決勝初戦。冒頭から桃城の作戦を挫き余裕を見せ続ける丸井と、海堂との持久戦を真っ向から受ける桑原の圧倒的な力は、青学にも読者にも絶望感を与えた。

 そんななか、精神的にも肉体的にも全く敵わない王者に必死で食らいつく青学の勇ましさ。本来のプレーができない海堂をカバーする桃城の姿は、聖ルドルフ戦でのゴールデンペアを彷彿とさせ、彼らがしっかりと“ダブルス”をしていることがわかる。千石にダンクスマッシュを打たれたことのある桃城と、桑原にポール回しを打たれた海堂の反応も秀逸な対比になっている。また、かつて「体力で勝つ」と言った桃城と、「精神力で勝つ」と言った海堂だが、ここで、桃城は精神面の勝負に強く、海堂は体力で戦おうとする逆転現象が起こっていることも見逃せない。

 スコアだけ見れば6-1と大差だ。しかし、試合前に「どうしても奴らに一泡吹かせたい」「同感だな」と言っていた桃城と海堂が、その言葉通り、観客を「ここに来て全くの互角!?」「王者立海相手にこれほどやるとは…」と感嘆させ、丸井に「つい本気になっちまったぜ」と思わせた。最後の一球がネットだったときの丸井の表情から明らかなように、一瞬だけでも立海を脅かしたのだ。その結果が、丸井と桑原がパワーリストを外したことと、真田が「全員パワーリストを外せ」と言ったことだ。青学など歯牙にもかけないつもりでいた立海の余裕の姿勢がわずかにゆらぎ、王者の牙城が崩れはじめた。その流れを、息つく暇もない試合展開と爽やかさを残す結末で描いた最高の試合が、関東大会決勝D2である。この時期の絵は安定して美しいことも加えて、珠玉の試合のひとつと言えるだろう。

 どう頑張っても文字だけでは魅力を伝えきれないので、とにかく今すぐこの試合を読んでほしい。 そして感じてほしい、許斐先生の演出力の高さを。

 

 本題から逸れてしまったが、私は、テニスをしている丸井くんの一番カッコイイところは「余裕」と「冷静さ」だと考えている。

 桃城から「パワーリスト外して貰えませんかね」と言われたとき、それを受け入れないのは当然として、拒否するのではなく、「外させてみろ」と答える器の大きさ。海堂にブーメランスネイクを打たせたとき、海堂との持久力勝負で機会を待っていたときの、桑原への信頼。その場しのぎの動きをするのではなく、試合を俯瞰で見られる肝の太さ。新テニならば、遠野のギロチンをくらった直後の態度や、ドイツの強さを目の当たりにしたときの「仕方ない」発言。

 それが、許斐先生をして「かわいい系の顔をしているんだけど、セリフは何気に男っぽくするよう意識しています」*2と言わしめる男・丸井ブン太

「冷静さ」については、20.5*3 (関東大会決勝D2の決着がついていなかった時期に編集)には記載されていないが、40.5*4(全国大会決勝D1前に編集)では言及されている。20.5と40.5では書かれている内容がだいぶ変わっているので、関東大会決勝D2の一戦を通して、丸井の冷静さが表現されたといえる。また、「余裕」については、新10.5*5で「普段は余裕のあるプレイを心がけている」と書かれている。

 実力に裏付けされた余裕があり、その余裕を揺るがされるようなことがあっても、あまりそれを表に出さなず、飄々としていられる。そして、物事を冷静に見極め、瞬時に的確な行動を取れる。すべて、彼が精神的にも身体的にも強いからこそできることだろう。

 マジでカッコイイ男なのだ、丸井くんは。

*1:https://twitter.com/All_tenipuri_ev/status/882058657030062081

*2:

ペアプリ Vol.7 新テニスの王子様 公式キャラクターガイド (ジャンプコミックス)

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*3:

テニスの王子様公式ファンブック (20.5) (ジャンプ・コミックス)

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*4:

テニスの王子様 40.5―公式ファンブック (ジャンプコミックス)

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*5: